入院や手術が決まって「窓口でいったん全額払わなくて済むように」と調べると、必ず出てくるのが限度額適用認定証です。ところが検索すると「マイナ保険証があれば不要」と「申請が必要」の両方が出てきて、自分がどっちなのか分からなくなります。
答えはどちらも正しいです。マイナ保険証で要らなくなったのは一部で、いまも申請が要るケースが残っているからです。
この記事で分かること。
- 自分は申請が要るのか要らないのか(1枚の判断表)
- マイナ保険証で要らなくなる条件(「持っているだけ」では足りません)
- いまも申請が必要な4つのケース
- 申請先と有効期限(毎年7月末で切れます)
上限額そのもの(区分ごとにいくらで止まるか)は別の記事にまとめています。→ 高額療養費の自己負担限度額 一覧表2026年8月〜
結論:判断表
上から順に当てはまるものを見てください。

| あなたの状況 | 申請 |
|---|---|
| マイナ保険証を使い、受付で限度額情報の提供に同意する | 要らない |
| 住民税非課税世帯(区分オ・低所得Ⅰ/Ⅱ) | 要る(限度額適用・標準負担額減額認定証) |
| 非課税世帯で、過去12か月の入院が91日を超える | 要る(食事代をさらに下げるため別途) |
| かかる医療機関がオンライン資格確認に未対応 | 要る(紙の認定証が必要) |
| 保険者にマイナンバーが登録されていない | 要る(協会けんぽが挙げている例) |
| マイナ保険証を持っていない・使っていない | 要る |
表の1行目に当てはまり、下の5行のどれにも当てはまらないなら、何もしなくて大丈夫です。
マイナ保険証で要らなくなる条件
「マイナ保険証を持っている」だけでは足りません。次の2つがそろって初めて、窓口の支払いが上限で止まります。
- オンライン資格確認を導入している医療機関・薬局であること
- 受付の顔認証つき端末などで、限度額情報の提供に同意すること
2つ目を見落としがちです。マイナ保険証を機械にかざすと「限度額情報を提供しますか」といった確認が出るので、ここで同意しないと、上限を超えた分をいったん立て替えることになります(後から高額療養費として払い戻しは受けられます)。
また、マイナンバーカードを持っていても健康保険証としての利用登録をしていなければ、マイナ保険証としては使えません。
いまも申請が要る4つのケース
① 住民税非課税世帯
非課税世帯の人は、マイナ保険証を使う場合でも「限度額適用・標準負担額減額認定証」の申請が必要です。協会けんぽも、低所得者に該当する場合は別途申請と案内しています。
理由は、この認定証が上限額だけでなく入院中の食事代の減額も兼ねているからです。食事代は高額療養費の対象外なので、上限額の仕組みとは別に手続きが要ります。
② 非課税世帯で、入院が91日を超えたとき
非課税世帯で、過去12か月の入院日数の合計が91日以上になると、食事代がさらに下がります。ただしこれは自動では適用されず、入院日数が分かるもの(領収書など)を持って申請する必要があります。
適用は申請日の翌月1日からになるのが一般的で、申請が遅れた分はさかのぼりにくい仕組みです(差額の返金を受けられる場合の扱いは保険者によります)。長期の入院になりそうなら、90日が見えてきた時点で窓口に相談しておくのが安全です。
③ オンライン資格確認に未対応の医療機関
導入は進みましたが、すべての医療機関・薬局が対応しているわけではありません。未対応のところでは従来どおり紙の認定証が要ります。入院先が決まっているなら、その病院が対応しているかを先に確認しておくと確実です。
④ 保険者にマイナンバーが登録されていない
協会けんぽは、協会けんぽにマイナンバーが登録されていない場合を申請が必要な例として挙げています。手続き上の登録がないと、限度額情報をひもづけられないためです。
有効期限は毎年7月末(8月に更新)
紙の認定証には期限があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 有効期限 | 原則 7月31日まで(協会けんぽは申請書受付月の1日から最長1年) |
| 2026年8月以降の特例 | 最長で 2027年7月31日まで。その後は改めて申請が必要 |
| 70〜74歳 | 75歳の誕生日の前日までとされる場合があります(後期高齢者医療に移るため) |
| 更新 | 自動ではありません。引き続き使うなら8月に申請し直す |
高額療養費の上限額そのものも8月〜翌年7月が1年の区切りなので、認定証の期限もここに合わせてあります。手元の認定証が去年のものなら、入院前に期限を確かめてください。
申請先と持ち物
加入している保険によって窓口が違います。
| 加入している保険 | 申請先 |
|---|---|
| 協会けんぽ(中小企業の会社員など) | 協会けんぽの都道府県支部 |
| 健康保険組合(大企業など) | 勤務先の健康保険組合 |
| 国民健康保険 | 市区町村の国保の窓口 |
| 後期高齢者医療(75歳以上) | 市区町村の後期高齢者医療の窓口 |
| 共済組合(公務員など) | 所属の共済組合 |
国保の窓口では、資格確認書(または保険証にあたるもの)・本人確認書類を求められるのが一般的です。前年の所得が確認できない場合は所得の分かる書類を求められることもあります。持ち物は自治体によって違うので、行く前に自分の市区町村のページを見るのが確実です。
入院が決まってからの動き
時系列にすると、やることははっきりします。
- マイナ保険証が使えるか確認(利用登録が済んでいるか)
- 入院先がオンライン資格確認に対応しているか確認(未対応なら認定証を申請)
- 非課税世帯なら、対応していても申請(食事代の減額を含むため)
- 受付で限度額情報の提供に同意する
- 長期入院になりそうなら、90日が見えた時点で窓口に相談
- 立て替えになってしまっても、高額療養費として後から払い戻しを申請できる
6番目は覚えておいてください。認定証が間に合わなくても、払い過ぎた分が戻ってこないわけではありません。戻るまでに数か月かかるので、手元のお金の都合がつくかどうかの問題になります。
迷ったら聞く先
制度の骨格は全国共通ですが、申請の持ち物・受付の細かい扱い・長期入院の差額の返し方は、保険者や自治体によって違います。この記事は2026年9月時点の協会けんぽと自治体の案内をもとに整理したものなので、実際に申請する前に、自分の保険者(保険証や資格確認書に書かれています)のページか窓口で確認してください。
病院の医事課・相談窓口でも聞けます。入院の手続きで毎日その説明をしている人たちなので、「うちは限度額情報に対応していますか」「非課税世帯の手続きは要りますか」の2つを聞くのが早いです。
まず確かめる3つ
- マイナンバーカードを保険証として使えるように登録してあるか
- 入院先がオンライン資格確認に対応しているか
- 自分の世帯が住民税非課税に当たるか(当たるなら、対応していても申請)
上限額がいくらで止まるのかは、区分ごとの一覧表にまとめてあります。
- 高額療養費の自己負担限度額 一覧表2026年8月〜|70歳未満・70歳以上の早見表
- 住民税決定通知書の見方2026|6月に届いたら見るべき3点 — 自分の区分を調べるときに使います
出典:協会けんぽ「限度額適用認定証」/福岡市「限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証」(いずれも2026年9月25日閲覧)