私は寝つきが悪くて、毎晩ベッドの中で睡眠用BGMを聴いています。 仕事や執筆作業のときも、ずっと環境音やローファイを流しっぱなしです。
「自分の好みど真ん中の曲を、自分で作って Spotify に出せたらラクなのに」と思って、実際にやってみました。
この記事では、個人で曲を Spotify に配信し始めるまでの手順を、2026年5月時点での実体験ベースで整理します。具体的には、DistroKid に申請してから、Spotify で配信が始まり、Spotify for Artists(公式アーティスト管理ツール)の即時アクセスを取得するまでです。
「お金をかけずに静かに始めて、ちゃんと配信が始まる」までの流れがイメージできるはずです。
個人で音楽配信を始めようと思ったきっかけ
きっかけは2つです。
ひとつは「寝つきが悪い」こと。布団に入っても考えごとが止まらない夜が多くて、ここ数年は耳元で静かなBGMを流しながら寝るのが習慣になりました。
もうひとつは「作業BGM中毒」。集中作業のときに無音だと逆に落ち着かなくて、ローファイヒップホップ・カフェジャズ・ホワイトノイズを延々と流しています。
聴く時間が長くなるほど、「もう少しだけ自分の好みに寄せた曲があったらいいな」という気持ちが膨らんできました。気づけば、AIで曲を生成できるサービスを契約して、自分用のBGMを作るようになっていました。
そこから「どうせ作るなら配信もしてしまおう」と思い立ち、Spotify などのストリーミングサービスへの個人配信に踏み切りました。家族のための副収入の柱を増やしたいという気持ちもあります。
必要な準備(楽曲・ジャケット・配信サービス選び)
配信申請の前に、最低限そろえる必要があるのは以下の3つです。
- 楽曲ファイル:WAV か FLAC が無難です。MP3 は配信先によっては受け付けてもらえません
- ジャケット画像:3000×3000ピクセル以上の正方形・JPG または PNG
- アーティスト名とトラック名:他のアーティストと完全にかぶらない名前を選んでおくと、後で混ざらず安全
配信サービスは、いわゆる「ディストリビューター」と呼ばれるものを使います。代表的な選択肢は次のとおりです。
| サービス | 料金 | 特徴 |
|---|---|---|
| DistroKid | $22.99/年〜(無制限アップロード) | 年額固定で曲数制限なし。即時配信に強い |
| TuneCore Japan | アルバム ¥4,750/年(1作品) | 日本語サポート充実 |
| CD Baby | $9.95/曲・$29/アルバム(買い切り型) | 曲ごと・アルバムごとの単発課金 |
| LANDR | 月額制 | マスタリングと配信のセット |
私は DistroKid を選びました。年額固定でアップロード数の制限がないため、ある程度の数を配信する方針なら明らかに安く済みます。Spotify for Artists の即時アクセスにも対応しているので、配信開始後にすぐ管理画面が使える点も大きな決め手でした。
DistroKid の申請手順(実際にやったこと)
DistroKid のアカウントを作ってから、最初のアルバムを送信するまでの流れは、おおよそ次のような順序でした。
- アカウント作成(メール・パスワード)
- プランを選んで支払い(年額。クレジットカード払い)
- 「Upload」から新規アルバム作成
- アーティスト名・アルバム名・ジャンル・リリース日を入力
- 各トラックの WAV ファイルをアップロード
- 各トラックのタイトル・作曲者・ソングライターを入力
- ジャケット画像をアップロード
- AI生成楽曲かどうかの申告(該当する場合は ON)
- 配信先サービス(Spotify/Apple Music/YouTube Music 等)の確認
- 内容を最終チェックして送信
入力時間は、1アルバム5〜10曲分でだいたい30〜60分くらいです。慣れれば次回以降はもっと短くなります。
入力が完了して送信ボタンを押すと、「Sent to stores」(各配信先へ送信中)のステータスになり、ここから配信開始までは「待ち」の時間です。
配信開始までの待ち時間と各サービスの反映タイミング
DistroKid に送信してから、実際に各サービスで聴けるようになるまでの時間は、配信先によってけっこう差があります。私の場合の実体験は次のとおりでした。
- HyperFollow ページ(DistroKid 提供のリリース告知ページ):申請直後にプレビュー可能
- Spotify:申請から3〜4日で配信開始メールが到着
- Apple Music/YouTube Music/Amazon Music 等:数日〜2週間程度で順次反映
- TikTok/Instagram の音源ライブラリ:1〜2週間遅れて使えるようになることが多い
Spotify は基本的に「最も早く配信開始されるサービス」と思っておくとよいです。リリース日の前にアーティストプロフィールが先に整備されるので、ファンへの告知用に HyperFollow のプリセーブ(予約再生登録)リンクを使うこともできます。
「配信開始メールが来てから動く」のが安全です。事前に SNS で日付を断定的に告知してしまうと、サービス側の遅延でズレた場合に説明が面倒なので、私は配信が始まってから動く派です。
Spotify for Artists を DistroKid 経由で即時取得する
Spotify には、アーティスト本人がプロフィールや再生データを管理できる「Spotify for Artists(S4A)」という公式ツールがあります。これがあると次のことができます。
- 月間リスナー数・再生数のリアルタイム解析
- 公式プレイリストへのプレイリストpitch(掲載狙いの推薦)
- アーティストプロフィール編集(バイオ・写真・SNSリンク)
- ファンの地域や年齢層などのオーディエンス分析
通常、申請から承認まで1〜3営業日かかりますが、DistroKid 経由でアップロードしている場合は即時アクセスが可能です。私が実際にやった手順は次のとおりです。
- artists.spotify.com にアクセス
- 個人の Spotify アカウントでログイン
- 「Claim an artist profile」→ 「Continue」
- アーティスト検索で自分の名前を選ぶ
- 「Get instant access」が表示される(DistroKid配信ならここで即時アクセス可能の表示が出る)
- 「Let’s go」→ DistroKid の連携ページへ自動遷移
- DistroKid 側で対象アーティストを選択して「連携する」
- Spotify の OAuth 承認画面で「同意する」
- Personal details(国・役割・氏名・連絡先メール・規約同意)を入力して Submit
ここまでで、Spotify for Artists のダッシュボードに到達できます。承認待ちなしの即日アクセスは、地味ですが大きなメリットです。
なお、アーティストプロフィールの管理者情報(メールアドレス・氏名)はリスナー側からは見えないので、個人の Spotify アカウントで claim しても、公開プロフィールには出ません。別名義で活動するときも、無理に Spotify アカウントを新規作成しなくて大丈夫です。
これから始めたい人へのチェックリスト
最後に、これから個人で音楽配信を始めたい人向けに、私が実際にやって「これは事前に押さえておくと楽だった」項目をまとめます。
- ✅ 楽曲ファイル(WAVまたはFLAC・最低1曲・1曲あたり数十MB)
- ✅ ジャケット画像(3000×3000・正方形・JPG/PNG)
- ✅ アーティスト名(既存アーティストと完全に被らないか事前検索を推奨)
- ✅ 配信ディストリビューターのアカウント(DistroKid なら年額$22.99〜)
- ✅ 支払い用クレジットカード
- ✅ 配信開始希望日(最低でも2週間前には申請しておくと安全)
- ✅ AI生成かどうかの自己申告(DistroKid と Spotify はAI申告必須)
- ✅ Spotify アカウント(S4A の claim に必要)
ありがちなつまずきポイントも書き残しておきます。
- Spotify for Artists は 自動でアクセスできるわけではなく、本人 claim が必要
- ジャケットは DistroKid 側は「テキスト・ロゴ入りでもOK」だが、Spotify アーティストアバターはテキスト・ロゴNG(ガイドライン違反扱い)
- 同じ完成音源は 別アルバムとして使い回せない(順番違いはOK)
- HyperFollow リンクが先に出るので、SNS告知に活用できる
費用面では、DistroKid の年額(約3,500円前後・為替次第)と、楽曲制作にかかる費用(AI生成サービスや作曲ソフト)以外はほぼゼロでした。個人が「とりあえず1曲を Spotify に出す」までのハードルは、想像よりかなり低いというのが正直な印象です。
私自身は実際に、jttone というアーティスト名でアンビエント/ダウンテンポ系のEPを Spotify に出してみました。眠れない夜と作業の合間に、自分用のBGMを作る感覚で続けています。
もし「自分の好きな雰囲気の曲を、自分で作って配信してみたい」と思ったら、まずは1曲・1EPから試してみるのがおすすめです。一度フローを通せば、二回目以降はかなり気軽に出せるようになります。
関連:副業として AI と一緒に何かを作る話は ChatGPTで副業を始める10のヒント もどうぞ。