9月に入りました。食品の値上げは4,923品目。前年の同じ月の約3倍で、単月4千品目を超えるのは1年5か月ぶりです。
ただ、数の大きさより先に知っておいたほうがいいことがあります。今月は「何が上がるか」の顔ぶれが、これまでと違います。
- 上がるものが調味料と加工食品に偏っている(この2分野で全体の77%)
- 調味料は買い置きで逃げにくい。開けたら日持ちしないから
- 品目数は8月の2.1倍だが、1回あたりの値上げ率はむしろ下がっている(15%→11%)
数字はすべて帝国データバンクの「食品主要195社」価格改定動向調査から取りました。8月分と9月分の2本のレポートを自分で突き合わせています。
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今回の4,923品目は、2つの分野に寄っている
調味料1,959品目と加工食品1,848品目で、合わせて3,807品目。全体の77%です。

| 分野 | 品目数 |
|---|---|
| 調味料 | 1,959 |
| 加工食品 | 1,848 |
| 酒類・飲料 | 466 |
| 乳製品 | 278 |
| 菓子 | 272 |
ここが今月の特徴です。6月・7月・8月は、主役が毎月入れ替わっていました。6月は幅広く、7月はパン・ハム・即席麺、8月はツナ缶・カップ麺。「今月はこれが上がる」と名前を挙げられる月でした。
9月は違います。調味料という、名前を挙げにくいけれど毎日使うものが束になって上がります。
なお当初の見込みは4,531品目でした。確定値は4,923品目で、392品目ぶん上振れしています。8月の記事を書いた時点の数字とは変わっているので、以前の記事を読んだ方はこちらを最新としてください。
調味料の値上げは、買い置きで逃げられない
値上げ前に買っておく、という手はよく使われます。私も8月の値上げのときはツナ缶を挙げました。缶詰やカップ麺は、買っておけばそのぶん確実に得だからです。
調味料はそうなりません。理由は3つあります。
1. 開けたら日持ちしない 醤油もマヨネーズも油も、未開封なら1年以上もつのに、開けた瞬間に「1〜2か月で使い切るもの」に変わります。5本買っても、開けられるのは結局1本ずつです。
2. 使う量が読めない 米や麺なら「1か月で何kg」と見積もれます。醤油を1か月で何ml使うか、答えられる人はほとんどいません。見積もれないものは、買いだめの量も決められません。
3. 種類が多い 醤油・味噌・油・酢・みりん・だし・マヨネーズ・ソース・ケチャップ・ドレッシング。全部を1本ずつ買い足すと、それだけで数千円になります。値上げぶんを取り返すつもりが、先に出ていく額のほうが大きくなりがちです。
つまり今月は、「安いうちに買う」という手が使いにくい月です。
「開けてから何日もつか」で分けると判断できる
とはいえ、調味料のすべてが買い置きに向かないわけではありません。未開封で長くもつものだけを選べば、買い足す価値はあります。
分ける軸は「値上げ率」でも「よく使うか」でもなく、開封後にどのくらいもつかです。
| 未開封 | 開封後の目安 | 買い置き | |
|---|---|---|---|
| 砂糖・塩 | ほぼ無期限 | 変わらない | ◎ 遠慮なく |
| 未開封の油・醤油 | 1〜2年 | 1〜2か月 | ○ 開けない分だけ |
| 酢 | 長い | 比較的長い | ○ |
| 味噌 | 数か月〜 | 冷蔵で3か月ほど | △ 1つ余分まで |
| マヨネーズ・ソース類 | 数か月〜 | 冷蔵で1か月ほど | ✕ 使う分だけ |
※日持ちはメーカーや容器によって差があります。必ず容器の表示を優先してください。ここに書いたのは「開封後は短くなる」という性質を掴むための目安です。
判断はこれだけで足ります。「開けずに置いておけるか」がイエスなら買う、ノーなら普通に買う。砂糖と塩は劣化をほぼ気にしなくていいので、余分に持っておいて損がありません。
⚠️ ひとつ現実的な話を。9月分の値上げは9月1日から順次で、すでに上がっているものもあります。「値上げ前に駆け込む」はもう間に合わない品目のほうが多いはずです。ただ改定日は商品ごとに違い、月の後半に上がるものも残っています。駆け込みを狙うより、この記事の分け方で「そもそも買い足す価値があるか」を決めるほうが、今からでは確実です。
品目数は2倍でも、1回あたりの上げ幅は下がっている
ここが今月いちばん誤解されそうな点です。
| 8月 | 9月 | |
|---|---|---|
| 品目数 | 2,311 | 4,923(2.1倍) |
| 平均値上げ率 | 15% | 11% |
品目数は倍以上に増えたのに、1回あたりの値上げ率は15%から11%に下がっています。
これは「広く薄く上がる月」だということです。ニュースの見出しは品目数だけを伝えるので「今月は特にきつい」と感じますが、1品ずつの上がり方は8月より穏やかです。
だからといって家計が楽になるわけではありません。薄く広くのほうが、気づきにくいぶん厄介という面もあります。1品10円の値上げが50品目に広がると、レシートの合計は確実に増えるのに、どれが原因か分からなくなります。
品目数の大きさに引っ張られて、必要のない買いだめをしないこと。今月はこれが一番、無駄な出費を止めてくれます。
光熱費と重なる時期であることも頭に入れておく
もう1つ、9月は別方向からの支出増が控えています。電気・ガス料金の補助が9月使用分で終わります。
請求は1か月おくれるので、値引きが消えるのは11月に届く請求からです。300kWh使う家庭で月1,000円ほど。詳しくはこちらにまとめました。
食品と光熱費を別々に見ていると、11月に「なぜか急に苦しい」と感じることになります。予算を組むなら合わせて見ておくのが安全です。
明るい材料もあります。食料品の消費税を1%に下げる減税が2027年4月から2年間の予定で進んでいます。ただし始まるのは1年半以上先で、それまでは家計側で吸収する期間が続きます。
9月の買い物チェックリスト
今月やることを、判断できる順に並べておきます。上から3つだけでも十分です。
- 砂糖と塩を1つずつ足しておく(劣化を気にしなくていいので、いつ買っても無駄にならない数少ないもの)
- いま開けている調味料の残量を見る。切れかけているものだけ買い足す。まだあるものは待つ
- 買っていない調味料は買わない。「いつか使う」で買った調味料は、たいてい開封後の期限のほうが先に来る
- レシートの合計だけ見て「高くなった」と判断しない。今月は1品ずつの上げ幅は8月より小さい
- 11月の予算を、光熱費のぶん月1,000〜1,500円多めに見ておく
値上げの背景そのもの(なぜ止まらないのか)はナフサの記事に書いてあります。今月の話とは別に、構造を知っておくと毎月のニュースに振り回されにくくなります。
本記事の品目数・値上げ率は、帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査(2026年9月分および8月分)で確認したものです。保存期間の目安は一般的な範囲を示したもので、実際の期限は製品の表示に従ってください。