Claude Code(Anthropic 公式 CLI のコーディング支援ツール)を使っていると、会話が長くなるにつれて応答が遅くなったり、AIが古い指示を引きずって変な方向に進んだりすることがあります。そんなとき、/clear コマンドを打つべきか迷う場面が出てきます。
/clear は便利ですが、何も考えずに連打すると逆に作業効率が落ちます。せっかく Claude が覚えてくれていたファイルの中身やこれまでの判断ロジックを、自分で全部捨てることになるからです。
この記事では、Claude Code を1年以上ほぼ毎日使ってわかった「/clear を使うべき4つのタイミング」と「使わない方がいいケース」、そして代替の /compact との使い分けまで、実体験ベースでまとめます。
そもそも /clear とは
/clear は 「現在のセッションの会話履歴をリセット」 するコマンドです。
具体的には、Claude が見ているコンテキスト(過去の質問・回答・読み込んだファイル・ツール実行結果すべて)が消えます。ファイル自体は消えません。次のメッセージから、Claude は「何も知らない状態」で応答を始めます。
新規セッションを立ち上げ直すのと近い感覚ですが、/clear の方が立ち上げコストがなく一瞬で済みます。プロジェクトルートに置いている CLAUDE.md は、次のメッセージ送信時に再度読み込まれるので、プロジェクトの基本知識は自動で復元されます。
/clear で何が消えるか・消えないか
| 項目 | リセット後 |
|---|---|
| 直前の会話履歴 | 消える |
| 読み込んだファイルの中身(コンテキスト上) | 消える |
| ツール実行結果(ファイル一覧・コマンド出力など) | 消える |
| プロジェクトの CLAUDE.md | 次メッセージ送信時に再読み込み |
| ファイルそのもの | 消えない(ディスク上は無事) |
| 過去のセッションログ | ディスク上には残る |
つまり「Claudeの短期記憶だけが消える」と考えると分かりやすいです。
/clear を使うべき4つのタイミング
1. 作業フェーズが完全に切り替わるとき
ブログ記事を書き終わって、次にアプリのバグ修正に移る、というような場面です。前のフェーズの文脈が残っていると、Claude が「さっきまでブログを書いていた前提」で動こうとします。
具体的には、こんな挙動が出ます。
- 「コードを直して」と言ったのに、なぜか文章のトーンを気にし始める
- バグ修正の提案なのに、ブログ記事の構成を引き合いに出す
- 関係ないファイルを「念のため」と言って読み始める
「もう違うことをやるんだ」という大きな切り替えのタイミングで /clear を打つと、次の作業がスムーズに走り始めます。
2. AIが古い方針に引きずられているとき
会話の途中で「やっぱりこの方向でやめよう」と指示を変えたのに、Claude が以前の方針を続けてしまう、という現象がたまに起きます。
たとえば私の場合、こんなことがありました。
- 最初に「シンプルなCSSで」と指示
- 途中で「やっぱりTailwindに揃えて」と方針変更
- Claude が3回に1回ぐらい、CSSの提案に戻ってしまう
長い会話の中で初期の指示が強く残ってしまい、新しい指示よりも優先されてしまうパターンです。何度説得しても押し戻されるときは、いったんクリアして「今やりたいこと」だけを伝え直すのが早いです。だいたい1〜2分の往復ロスで済みます。
3. デバッグや試行錯誤で迷走したとき
「これ違うかも」「やっぱりこっちかも」を繰り返した結果、自分でも何をやろうとしているのか分からなくなることがあります。Claude も同じです。
5回以上方向転換した会話は、もう原型をとどめていません。クリアして、いま欲しい結論だけをシンプルに投げ直すと、一発で正解に届くことがよくあります。
「迷走した会話を続けるより、リセットしてやり直す方が体感で何倍も速い」というのが私の実感です。
4. 長時間作業で応答が遅くなったとき
会話が肥大化すると、毎回のリクエストに膨大なコンテキストを送り込むことになるため、応答速度が目に見えて落ちます。料金面でも、API課金で使っている場合はトークン消費が積み上がります。
「最近やけに遅いな」「同じ質問なのに以前より時間がかかる」と感じたら、コンテキストが原因のことが多いです。私の場合、長時間ぶっ通しで作業した後の /clear は、応答速度が体感で明らかに軽くなります。
/clear を使わない方がいいケース
逆に、こんなときはクリアしない方がいいです。
- 連続作業の途中:直前にClaude が読み込んだファイルや実行結果を踏まえて、続きをしてほしいとき
- 長い議論の積み上げの結果を使いたいとき:「ここまで話したことを前提に、次のアクションを考えて」という場面
- 同じプロジェクトで複数ファイルを横断して修正中:ファイル間の関係を Claude が覚えてくれている状態を捨てるのはもったいない
- 直前にClaudeが工夫した解決策を踏まえたい:「さっきのやり方を別ファイルにも適用して」が一発で通る状態
「文脈を残したい場面ではクリアしない」が原則です。
失敗例:私がクリアして後悔した瞬間
過去の失敗で印象的だったのが、ブログ記事のデバッグ中にうっかり /clear してしまった件です。
- 1時間かけて「特定の YAML フロントマターのバグ」を特定
- Claude が再現条件と修正パターンを把握済み
- そこで「重いな」と感じてクリア
- もう一度同じ説明を最初からやり直すハメに、追加で30〜40分のロス
「重いから」だけで打つと痛い目を見るので、「重い」と「やり直したい」を切り分けて判断する癖をつけました。
代替手段:/compact という選択肢
「重い」「遅い」を解消したいだけで、文脈は残したい、という場面では /compact の方が便利です。
/compact は 「これまでの会話を要約して、コンテキストを圧縮する」 コマンドです。完全リセットではなく、Claude が「これまでの作業の要点」を覚えたまま、余計な詳細を削ってくれます。
/clear と /compact の使い分け
| 状況 | おすすめコマンド |
|---|---|
| フェーズ切り替え(作業内容が変わる) | /clear |
| 重い・遅いが内容は続けたい | /compact |
| 完全に迷走してやり直したい | /clear |
| 長時間連続作業で速度低下 | /compact |
| 機密情報を読ませた後で履歴を残したくない | /clear |
/compact を打つと、要約されたサマリだけが残ります。サマリに含めてほしい情報を指定することもできるので、「重要な部分は残しつつコンテキストを軽くする」が実現できます。
料金面でのメリット
Claude Code を API 課金で使っている場合、会話が長くなると毎回のリクエストで送るコンテキストが増え、同じ質問でもトークン消費が膨らみます。
/clear でリセットすれば、次のリクエストは最小限のトークンで済むので、長時間作業の料金が体感でかなり節約できます。これは個人でAPI課金をしている人にとっては地味に効いてくる差です。
(Max・Pro の定額プランで使っている場合は、料金ではなく速度メリットが中心です)
関連:Claude Code のトークン消費を抑えるおすすめ設定2026 も合わせてどうぞ。
他の便利コマンド早見表
ついでに、/clear と一緒に覚えておくと便利なコマンドもまとめておきます。
| コマンド | 用途 |
|---|---|
/clear | 会話履歴を完全リセット |
/compact | 会話履歴を要約して圧縮 |
/resume | 過去セッション一覧から選んで再開 |
/help | 使えるコマンド一覧表示 |
/init | コードベースを分析して CLAUDE.md を生成 |
/cost | 現在のセッションのトークン消費・料金確認(API利用時) |
特に /cost は、/clear か /compact を打つかの判断材料になります。コンテキストがどれだけ膨らんでいるか可視化されるので、「そろそろ重くなりそう」が事前に分かります。
まとめ:判断フローチャート
最後に、/clear を打つかどうかの判断を一行ずつ整理しておきます。
- 作業フェーズが切り替わる? → YES なら
/clear - AIが古い方針に引きずられている? → YES なら
/clear - 5回以上方針転換して迷走? → YES なら
/clear - 重い・遅いだけで内容は続けたい? →
/compactを試す - どれにも当てはまらない? → そのまま続行
「クリアと圧縮のどちらを打つか」を意識するだけで、Claude Code の作業効率はかなり変わります。最初は感覚が掴めなくて使い分けに迷う場面が多かったので、似た悩みを持つ方の参考になれば嬉しいです。
他の AI ツールとの使い分けに興味があれば、ChatGPT・Claude・Gemini 徹底比較 も参考になります。